だしまきたまごがあまくてこまった

てぱとら委員会のブログです

『泡沫サタデーナイト!』にモーニング娘。の永遠を見た

 

泡沫サタデーナイト!』の盛り上がりを見て、ハロヲタおじさんおばさん各位の御多分に洩れず、「あの時」を思い出している。

 
2012年の夏、女子高生だった私は下校中の電車で友達とギャンギャン騒ぎながら、Youtubeに上がったばかりの『One・Two・Three』のMVを見ていた。ついこの間のような気がするけど、まだまだスマホは3G回線、娘。公式動画も低画質でアップされる時代だった。
 
ガタガタに荒い動画でも娘。たちの今までにない煌めきは明らかで、「鞘師さん最高」「だーいしのウインク光ってる」とか何とかブツブツ言ったのを昨日のように思い出す。
ハロー!を追いかけて以来体験したことのないようなCD売上枚数の伸びに一喜一憂し、リリイベでのさゆみの涙に感極まり、なんか楽しかったなぁ。
 
そして結局、あの一曲が娘。の歴史を変えたのだった。学校でもモー娘。ってカッコイイらしいね!と言われるようになったし、モーニング娘。は「123以前/以降」で語られるようになった。
 
とはいえ『One・Two・Three』は確かにモー娘。復活の狼煙ではあったけれど、各メンバーの顔と名前が広く浸透するまでには至らなかった。せいぜい10年戦士で既に名の通った6期の道重・田中、センターを務めた鞘師が注目を集めた程度じゃないだろうか。
 
 
怒涛のごとく時は流れて2016年、娘。復活のアンセムを支えた田中れいな道重さゆみ鞘師里保は早くも娘。を去ってしまった。
 
つまり今モーニング娘。'16として活動しているのは、娘。再ブレイクが囁かれ始めた時の「後列メン」と、その後輩たち。
そんな彼女たちが、あの時を彷彿とさせるような盛り上がりを私たちにもう一度感じさせてくれているんだなぁ。
そんなことを思って、『One・Two・Three』のMVを見返してみた。
 
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この曲はやっぱり何度聞いてもカッコよくて、新しくて、可愛くて、キラキラしている。
 
けれど、何と言っても9期・10期の幼さ!!!少ないパートで振りまく可愛さはたまらないんだけど、これってまだこの子達が自分の秘めたる魅力に気づいていないからこその魅力だったんだな。
 
9期・10期は加入してまだ1年程度。今の12期と同じくらいかな。
そう思えば、これは羽化の始まりの曲に過ぎなかったのだ。モーニング娘。にはこんなヤバイひよっ子達と強い姐さんがおるで!!!ぐらいのもんだったのであって、そりゃあだってイェイイェイイェイェイピョコピョコジャンプした半年後ですもん。
 
一方その中で鞘師だけは飛び抜けて自分の魅せ方を分かってたし、鞘師は既に何歩も先をひょいひょいと歩いていた、新しいモーニング娘。を作るにあたって鞘師がすべてを背負っていたのだな、と改めて感じたのでした。進化が早いタイプのポケモン
 
この4年は鞘師の時代だったんだなぁ。
 
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そしてこちら、先日公開された泡沫サタデーナイト!
MV公開から3日で33万再生。近年の娘。楽曲ではちょっと見ない勢いだ。
 
外部アーティストによる赤羽橋ファンク、THEハロプロ文法、イケイケノリノリのディスコナンバー!!これが新しい『LOVEマシーン』!!
 
そんな風に語られるこの曲は、正直に言ってつんく♂楽曲ほどのパンチ力や素っ頓狂な気持ち良さはないと思う。なんというか、おしゃれでキャッチーで優等生的だ。鞘師さんが抱えていた、年齢不相応の寂しさみたいなものが無くなった今のモーニング娘。にしか歌えない楽曲なのかもしれない。
 
ではどうしてこの曲が魅力的で、とにかく全人類に聞いて貰いたいのか。
 
まず、作詞曲を担当している津野米咲(赤い公園)は、ハロヲタを公言して憚らない24歳。
そして、この曲を歌って踊る'16のメンバーは、モーニング娘。に憧れて育った世代や、さらにその娘(!?)にあたる世代*1だ。
 
メンバーもアーティストも、かつて「モー娘。」を見て、歌って踊って憧れて育った女の子たち。
そんな彼女たちが体現するのは、小さい頃に娘。を見て育った世代にとっての「モー娘。」だ。あの「モー娘。」が2016年に、2016年のやり方で再生産されているのだ。
 
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土曜の夜は踊りに繰り出して、はしゃいで騒いで、、、、楽しいはずのこの曲は、なぜかどこか切ない。
「あと58秒で終わっちゃうんだって!」というセリフとともに始まるカウントダウン。必ず迫り来る終わりの時を感じながら、それでも自分の力全部を集中させて今を楽しみたい。
 
「アイドルは終わりがあるから美しい」、そんな言説がある。若さゆえの刹那的な輝きが美しいのだと。
 
確かに、卒業加入を繰り返すことで命を永らえるモーニング娘。に永遠はありえない。今作だって、まだ若い9期メンバー・鈴木香音の卒業ナンバーだし、コンサートごとにメンバー構成が入れ替わることだってざらにある。
 
でも、憧れと文化の継承を繰り返す中で、娘。達はずっと何かを守り、温め続けているような気がする。
 
だって今のメンバー達も、先輩や同期の背中を見て、いつしか自分の魅力に気づき、魅せ方を学び、自在に操る力を身に付けて来た。
田中道重鞘師が背負ってきたものを、元をたどれば歴代のメンバーがずっとずっと背負ってきたものを、今は9期や10期が背負って、『泡沫』を歌っているのだと思う。
 
あの頃は自分のパートをこなすのが精一杯で、大人しくお澄まししていた9期10期、その姿を見て加入した11期12期が、『泡沫』ではありとあらゆる表情を見せて、見どころ満載のMVが完成している。
 
彼女達の表情や表現は、『One・Two・Three』では見られなかったものだけど、それはまさに、過去の娘。達が『LOVEマシーン』や『One・Two・Three』で見せてくれたものだ。
 
キラキラ輝くモーニング娘。に憧れた女の子たちが、その背中を追いかけて、いつしかモーニング娘。を自分の手で作って繋げていく。
モーニング娘。は永遠の愛の形」*2、まさにそうなんだと思う。
 
この曲もまた娘。の歴史を動かすのだろうか?
今はまだ分からないが、私は『泡沫』に娘。の永遠を見たような気がする。
 
 
モーニング娘。に100年続いて貰うために買おうな〜〜〜〜!!!!!!!
 

*1:最年長の飯窪春菜が1994年生まれ、最年少の羽賀朱音が2002年生まれ。

*2:6期メンバー・亀井絵里の卒業セレモニーでの言葉。