
祝われたいですね。
最近祝われました?
私はあんまり祝われてないです。
赤ちゃんのときはちょっとマムマム言うだけで祝われたのに。
何かを卒業して入学したら2ヵ月で2回盛大に祝われたのに。
大人になるって祝われなくなるって事なの?
そんな寂しいコト言わないでよ~~~
最後に祝われたのは就職したときかも。
じゃあ……
じゃあ…………
退職しても祝われるべきだよね!?!!?
定年退職じゃなくたって祝ってもいいだろうがよ!
イマドキは何度も転職する人も多いし。
っていうか過重労働から逃げられたから祝おうぜ!!!!

折よく仲間内から2人同時に退職したので、同時に祝います。
1+1は2だけど祝われ力は100倍だ!
10倍だぞ10倍!!!
祝いと聞いて我慢できずに駆け付けた6人でやることを決めます。
「ピニャータを割ろう」
「ピニャータに『労働』『残業』など書いた紙を貼っておのおの棒でシバいたらええんやな」
「退職する2人へのプレゼントもピニャータに入れます」
「「楽しみ~~」」
「あとはやっぱり手紙かな……」
「何を書いて何を読むの!?」
「みんなへ。今までたくさんありがとう。過重労働はちょっとつらかったけど、かけがえのない毎日でした……」
「嘘をつくな、ただつらかっただけやろ」
「退職する側が手紙読むんや?」
「だってアイドルの卒コンは卒業する側が読むでしょ」
「じゃあそれで」
「他なんかあるか」
「友人が退職したときにすべきことって何?」
「何もないよ」
「鯛焼きの早食い」
「は?」
「なんで?」
「鯛食(タイショク)だから……」
「よくわからんけどそれもやろう」
「ご飯もタイ料理にしよう、タイ食だから」
なんかよくわからんけどAmazonやらUber EatsやらAirbnbやらで色んな手配がされて、退職パーティー当日を迎えました。
~当日~

飾り付け担当がかわいくしてくれました!
本当は「HAPPY RETIREMENT」「I'M RETIRED」など文字の飾りをつけたかったのですが間に合わなかったため、吹き出し型のバルーンに、退職する2人からそれぞれコメントを書いてもらいました。

「わたし、やめます!!」
カントリー・ガールズの『弱気女子退部届』になぞらえ、梁川奈々美になる無職。

「有仕事 NO LIFE!」
嘘中国語と英語を混ぜた謎標語を生み出す無職。
今日は色んな無職が見れるぞ!
やったね!!!!

とりあえず届いたタイ料理に舌鼓を打つ無職と有職。
「プーパッポンカリーうめ~」
「カオマンガイのタレめっちゃ辛いよ!」
などとわいわいやっていますが……

ピニャータが待機中です。
「これからこのお馬さんを棒でどつかなあかんの?」
「馬じゃなくてロバね」
「どっちにしろ生き物やん!」
「叩きたくない~」
「生きとし生けるものには愛を……」
でも割らなきゃいけないもんは割りましょう。
ピニャータって割られるために生まれた存在だし……
「2人へのプレゼントも入ってるから! がんばって!!」
「ええ~~……」

おそるおそるつついてみる無職。
本来ピニャータはヒモで吊るすものだし、プレイヤーは目隠しをするものなんですが、準備が足りなかったため、机に置いて目を剥き出しのままプレイしています。

「硬い!」
「割れる気がしない!!」
勇気を出した無職が何度か叩いてみるも、やたら頑丈なピニャータ。
埒が明かないので引き裂くことになりました。

「「せーの……」」

やった~~~~!!!!!



ピニャータの残骸を呆然と見つめる無職。
「はい! 2人へのプレゼントも今出てきたよ!」
「探して!!」
「そんなこと言われても……」
「何なのかわからんもん探すんムズい……」
「あっ!」
「もしかしてこれ!?」


「わ、わ~……」
「ちっちゃ、かわい……」

「やった~~」
「ありがと~~~」

というわけで、2人への退職祝いはシルバニアの赤ちゃんでした!!
「ペルシャ猫の赤ちゃんや~」
「ふわふわでかわい~~」
「ちいちゃいのち……」

ちいさいいのちに恐れおののく無職。

「チロルチョコにシルバニアの赤ちゃんをまぎれ込ませたらかわいいのでは!?」
「絶対かわいいやつや!」

「かわいい~~」
「……かわいいっていうか死体遺棄やな」
「死体遺棄バニア」
寝袋とランタンのせいで死体遺棄バニアになってしまいました……

続いてのイベントは鯛焼きの早食い大会。
近くの商店街で買い出し済です。
~回想~「6個ともあずきでええよな?」
「なんで!?」
「内容物によってタイムが変わってくるでしょ」
「そんなにガチで来たの? 私は味を楽しみたいよ」
「そっか……」
「あずき2個カスタード2個金時いも2個でお願いしま~す」
~回想終わり~
2人ずつ鯛食にチャレンジしていきます。















嗚呼、あの愉しい宴から四年も経ってしまった。芋餡の鯛焼きは早食いに向かず、練習してまで鯛食に臨んだ人間は三十秒で完食したという。あの日退職を祝われていた二人はどちらも、その次に就職した職場を退職した。万物は流転する。そう、これが鯛焼き屋から逃げ出した鯛焼きの末路だ。四年も経てば本物の真鯛にもなれる。すべては流転し、真鯛は体高が高く横につぶれた形の体は岩場を泳ぎ回るのに適している。これが祝い、祝われる者の在り方なのかもしれない。

いつかは祝われ、いつかは祝う。かく在りたいものだ。
※鯛焼きの早食いやピニャータ割りは、安全に配慮し、怪我の無いように行ってください。特に芋あんの鯛焼きはよく噛んで食べましょう。

