だしまきたまごがあまくてこまった

てぱとら委員会のブログです

「腐女子トレンド動向調査」~ご意見&回答編~

プレゼン大会の記事を書いた、いなだです。

闇鍋オタクパーティーがバズり、これは滅多刺しの晒し上げ……?とおびえていましたが、オタクのみんなが想像の10000000倍優しかったのでとっても♡Happy♡

 

とくにpixiv小説ランキングの記事はすごかった! 

調子に乗ってTwitterにお題箱を設置したところ、往時の自ジャンル事情を丁寧に教えてくださったり、興味深いブコメも色々と。

たくさんの方々、愛のあるコメントを本当にありがとうございました。愛されてる!!諸作品と二次同人の世界!

 

頂いた情報をpixiv小説ランキングウォッチャーに全部投げたら、アホみたいな量の追記が送られて来ました。

分量がアホすぎたので、読みやすく編集して投稿します。目次のリンクも使ってね。マジで量がアホ!!

 

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ごあいさつ

 皆さんこんにちは。前回の「pixiv小説ランキングから見る腐女子トレンド動向調査」のプレゼンをした、たぬき(Twitter:@ponpokotnktnk)と申します。

わたしたちが想定していた何千倍もの方々にプレゼンをご覧いただき、非常にあたたかい反応を多数いただいたこと、本当に嬉しく思います!!!!ありがとうございます!!!
 

私は「pixiv小説ランキングは腐女子の流行を最も反映するものである」と2012年くらいからマジでずっと主張していたんですけど、他プレゼンターたちからはハイハイまた言っとるわ~という扱いを受けていたので……。

一発ギャフンと言わせたろ!という不純な動機で作成したプレゼンですが、結果的にたくさんの方が過去を思い出したり、黒歴史に爆死したり、楽しい時間を過ごしてくださるきっかけになったようで良かったな~と思います。

 

また、様々なジャンルの方が推しカプでやりたい、自ジャンルの流行り推移の調査をしたいとおっしゃっているのも目にしました。
わたしは読み専として大きな流行を楽しく眺めていますが、やはり特定のジャンルに腰を据えて二次創作をしている方にしかわからないジャンル内の雰囲気や流れがあると思います。ぜひ発表してください!!!!

個人的にそういった事情にも興味津々ですので、(未履修ジャンルだとしても!)リプライやDM頂けたら読みに行きたいです。教えてくださいね!!!

 

そして、今回は皆さまから届いたアツい補足や質問にお答えする記事を作成してみました。色々なコメントを見ていると書きたくて仕方なくなってしまって!考察語りが好きなんです、オタクだから。 お寄せ頂いたコメントを勝手に引用しておりますが、どうぞご容赦ください。

プレゼンで用いた統計は年4集計でしたが、情報の正確化のために月1単位で集計しなおしました!そちらのデータも参考にしながらお答えしていきます。

 

調査自体への疑問

なぜ小説ランキングを観測したのか

「イラスト(漫画)じゃなく小説を定点観測対象にしたのはなぜでしょうか?pixivのランキング入りする小説って独特の癖というかテイストがあると感じていて、イラストのランキングは飛んだりするんですけど、小説はこんなのが流行ってるのか、と眺めるだけに終わっています。」 
 小説ランキングが流行を映しているという持論に至ったのは、その勢いや流れを実際に観測して得た体感によるところが大きいですが、改めて考えてみますね。

 

1.“二次”作品数の比率
 プレゼン内でも紹介したとおり、pixiv小説ランキングの上位はほぼ女性向け二次創作作品のみで埋め尽くされていますよね。一方イラスト(漫画)の「女子に人気」ランキングを見ると、オリジナル創作作品も多くランクインしています。
なので、二次創作作品が多く集約されている小説のほうが、より二次のトレンドを追いやすいかなと思います。

 

2.イラスト作品/小説作品の閲覧・評価・ブクマ傾向
 イラストランキングは、必ずしも旬とは言えないジャンル・キャラでも、所謂「神絵師」さんが描いた作品が上位にランクインすることも珍しくないと感じます。イラストって視覚的に働きかけてくるので、あまり知らないキャラクターでもめっちゃ美麗だとお気に入り登録しちゃいません?

なので、イラスト(漫画)ランキングは二次創作の対象となる作品のトレンドと密に関係しているとまでは言えないと思います。

 一方で、作品の背景を知らないと楽しみづらい二次小説は、特にそのジャンルを好きな人が読んだり書いたりブクマしている傾向が強いように思います。

 

3.旬ジャンルを支える若年層がpixiv小説を読んで/書いているのではないか

 二次創作同人において、覇権ジャンルと呼ばれるほどの一大ムーブメントを巻き起こすためには、若い中高生オタクのパワーが重要だな~と思います。

新しい世界に飛び込んだときってわくわくするし、なんでも知りたいしなんでも見たいし自分でも作品を作ってみたい!皆さんもオタクになりたての頃、あふれ出るパッションを止められなかった記憶があるのではないでしょうか。

創作意欲(と時間……)に溢れた若者達がたくさん二次創作作品を投稿・閲覧する、それが旬ジャンルの生まれる王道ルート。

 

そして若いオタクにとって、イラストと比べて小説の方が「世に出すハードルが低い」と感じやすくないですか?(もちろん個人差はあります)イラストの体裁を整えるためには、画材やペンタブ、お絵かきソフトなどある程度の投資が必要な一方、小説はスマホさえ持っていれば誰でも作品を完成させられますよね。

ということで、若くて元気いっぱいなオタクの熱がダイレクトに反映されやすいのが、pixiv小説だと思います。

 

実際、若者人気の高い『鬼滅の刃』の腐向けタグ「腐滅の刃」で比較すると、イラスト・マンガの投稿数16889、小説投稿数26644(2020年4月11日15時時点)と小説の投稿が圧倒的に多いことがわかります。

私も中1のときはめちゃくちゃクオリティの低い銀魂・リボーン混合の嫌われ夢小説を書いてエムペ!で作った個人サイトに投稿してましたし(今でも消しそびれてネットの海のどこかで漂っているはず……)。イラストも授業中に描いてたけど、投稿する勇気はなかったですね。下手だし!みたいな。

※編者コメント:私は中3位でナノに移行してオシャ白背景サイトを作った

 

若くしてマイナージャンルにハマった場合、「私が描かなきゃ…!!」という使命感に駆られてイラストも小説も投稿するオールラウンダーに成長することもあるようですが、旬ジャンルはとにかく供給が多い!!!個人的なお絵かきをpixivに投稿するほどのモチベーションが湧かない人も多いのかな~、と経験上推察します。

 

このように、pixiv小説は若いオタクのみなさんが読み手のみならず書き手としても精力的に活動してくれている場であるからこそ、そのランキングはまさに旬のオタクトレンドを反映していると言えるんじゃないでしょうか。

 pixiv小説内ではガラパゴス的な特殊設定の流行が多いので、その点をあまり好まれない方もいるかと思います。でも、その流行はどこからきたのか?などさらに深堀りすると楽しいですよ!

 

pixiv小説ランキングと同人誌やTwitter上の人気との違い

「ヒプとかアンスタとかあんまりないんやなってところが驚きだった。Twitterではあんなによく見るのに」

 そうですよね~~!!やはりこれは観測対象の年齢層とも関係あるかと思います。

例えば、コミケにおけるカップリング表記数について調査されているサークル・「あまあまくろにくる」のタルトさんの研究結果によると、2019年冬コミのジャンル別サークル数はFGOが1位、刀剣乱舞が2位、コナンが3位だったそうで………

pixiv小説での流行とはかなり違った結果が出ていますね。


また、こちらの記事( コミケ97の二次創作人気を調査&次回予想~VTuber、鬼滅他拡大 - ASCII.jp)によると、コミケは比較的参加者の年代が高く、関東圏の参加者が多いとのこと。

特にサークル参加には参加費、印刷代等の金銭的コストがかかるため、ある程度経済的に安定した立場にならないと難しいですね。

 

一方、pixiv小説のユーザーには比較的年若いオタクも多く含まれており、特に若い層がどんどん作品を読んだり書いたりして、ランク入りジャンルの人気を下支えしているのではないかな?と私は考えています。

そういった違いが影響して、コミケ同人誌即売会での人気とも、感想をお寄せいただいた方のTLでの人気とも異なっているのかなと。

年齢層ごとの人気ジャンルなんかも導き出せたら面白いですね!

 

プレゼン内容の補足

2017年10月にFGOがランクインした背景

FGOのメインストーリーの第一部が2016年末に完結し、そのストーリーの"エモ"さから二次創作が増えたのではないかと私は思います。当時第一部をクリアし号泣した既プレイヤーたちが「ストーリーめちゃめちゃいいからやって」「フレンド借りるだけでクリアできる」ととにかく宣伝・布教をしまくり、実際に新規プレイヤーが増えた記憶があります。」

「2016年末はゲーム本編第一章が佳境に入ったタイミングで、かつ現実時間とかなり密接にリンクした展開をなされていた時期で盛り上がりがあったので、ランク入りの一因になったのではないかなーと思いました。」

 有識者の皆さまが情報提供してくれました!!!感謝……!


なるほど、第一章の完結というとても大きな節目があったのですね。確かにその布教活動は目にしたことがあるかも。今からFate関連は追いきれないだろうと思って手を出していませんでしたが、強いジャンルですよね。

 

「2017年10月のFGOはナギ節だった為、結果として書き手・読み手の(ゲーム的な余暇があり)時間が作られたが故のランクインかもしれません…」
 確かに、ソシャゲジャンルは重要イベントの隙間を縫って二次創作を書いたり読んだりしなきゃ!!という特有の問題もありますね~。

 

「2017年10月のFGOか…先に実装された新宿のアーチャーに続き7月にホームズも実装されたのでそっちかなあ?帝都はもっと後だし。」
 おっしゃるとおり、2017年後半~2018年前半にかけてコナンとFGOの混合小説がたくさん確認されました。2017年7月にホームズが実装されたそうなので、そこからの派生かな~。
FGO刀剣乱舞は混合ネタを書きやすい世界観なので(○○のキャラがマスター・審神者になる)、こういう傾向が表れるのも興味深いですね~~!

 

黒バス×プリキュアのクロスオーバーとは

「当時放送中の『スマイルプリキュア』のキュアピースが「黄瀬やよい」ちゃんという引っ込み思案で絵を描くのが好きな女の子で、黄瀬涼太と黄瀬やよいの兄妹パロが流行っておりました。」
「同時期に放映されていたプリキュア黄瀬やよいちゃんと言うキャラがおり、担当カラーも黄色だったために2人を絡ませるネタが一定数ありました。」
「黒バスの黄瀬涼太とスマイルプリキュア黄瀬やよいが兄妹設定の『黄瀬兄妹』小説かと思われます。歴代プリキュアの中でもオタク人気が高いスマイルプリキュアが2013年1月に放送終了したのと、黒バス人気の高まりが重なったこともあるのか、スマプリ放送終了前後から徐々に黄瀬兄妹作品が増えていったのを覚えています。プリキュアは元々クロスオーバーの割合が高いジャンルですが、黒バス人気の恩恵かブクマ数も伸びているものが多かったです」

 そうなんです、黄瀬兄妹!!なんで思い出せなかったのかが悔しくて仕方なかった……。

こちら声優の杉田智和さんもお気に入りのネタだそうで。黄瀬君もやよいちゃんも人気キャラですし、黒バスはカプ要素のないほのぼの小説も多かったので、結構相性のいいパロだったと感じます。

 

”ブラック本丸”の元ネタ

「とうらぶのブラック設定は元は艦これから来ていたと思います。艦これのゲーム内には疲労度があり、溜まるとそれ相応のデバフが付きます。ですが、どんなに疲労を貯めてても出撃できます。更に、旗艦というリーダー役にしてると大破(重傷)を負っていてもキャラロストしないため、経験値稼ぎとして出撃しているところもありました。
 その辺を艦娘を人として見てる勢が、これブラック企業も真っ青のヤバ鎮守府じゃん、と解釈したのが始まりだったと思います。他にもゲーム攻略として効率的だけど人道的にどうよ問題は多々あり、その辺をネタ混じりにしてたのが最初期だったと思います。

その後、とうらぶがリリースされ、似たようなシステムなのでそちらにも流用、発展していったものと思われます。」

 確かに!私も一時期『艦これ』はかなりやりこんでいたので、“ブラック鎮守府”については存じております。艦これ界隈の二次作品は男性向けが多いこともあり、ブラック鎮守府で描かれるのは主にモブレものが多かったかな…。


そう思うと、“ブラック”解釈だけを輸入して女性向けにアレンジするってなかなかの手腕ですよね。しかもブラック本丸ネタ、ランキングでの初出は2015年3月なんですよ。サービス開始が1月ということを考えるとかなりのスピード感です。最初にブラック本丸ネタのフォーマットを考えた人になんか賞とかあげたほうが良くないですか?尊敬します。拍手!

 

いろいろな“嫌われ”小説の類型について

「黒バスでは「嫌われ」がかなり流行ってたので、その後流行ったジャンルもそのまま進むかな~?と思っていたら、「厳しめ」(コナン)だったんですよね。恐らく間に「ブラック本丸」(とうらぶ)が挟まると思いますが、時代の流れ的に「キャラ捏造」→「夢(女審神者)」→「成り代わり/転生」なので、時代とともに進化しているのかなとも思いました。
 ところで、いつの時代にも「悪女」ネタって一定数流行っているのではないでしょうか。pixivが出来てからのオタクなのでホームページ時代は詳しくないですが、かつて「天女ネタ」と呼ばれていたと聞いたことがあります。黒バスの嫌われの原因もオリキャラ由来だとオリ悪女みたいな存在によってというのは何回も見かけました。ブラック本丸だと「先代の審神者」が該当するかと思います。」

 “厳しめ”………私、実は定義がよくわかってないんですよね。pixiv百科事典によると、「特定キャラへの原作の設定や展開に不満があり、それを解消するために作られた創作物につけるタグ」とのことです。勉強のために色々読んでたら、『おそ松さん』の「カラ松事変」に関する作品を結構な数見つけました!こういうことか~。確かにあの展開当時燃えてましたもんね…

『コナン』に“厳しめ”作品が多いのは、色々な組織が絡み合っているうえに、キャラの行動にツッコミどころが多いからですかね?厳しめ小説の中でも“厳しさ”の程度は作品によってだいぶ差があったので、基準や定義を作者さんに直接聞いてみたいところではあります……。良ければご意見いただけると参考になります!

 

ちなみに、“嫌われ”小説の歴史を考察していたらすごく長くなったので、こちらは別記事にまとめたいと思います!私がこれまで観測してきた二次夢小説嫌われ、オリジナルBL嫌われ、本丸乗っ取り、近年流行中の転生悪役令嬢ものに見る「嫌われフォーマット」の変遷について書きます。よろしくお願いします。

 

その他特殊設定あれこれ

ジャンル内非公式設定の発生

「黒バスでは「本編ではほぼ接点がなかったけどセット扱いされる人達」というのが静かに多いと感じています。(森月宮やPG組等)
 また、とうらぶも(といっても本編というほど本編がありませんが)「歴史上の人物の持ち物としては絡みがないけど現在同じ博物館にいるから」という理由でセット扱いや仲良しだとされている刀達があります。(徳美・トーハク等)
 旬ジャンル特有なのか、キャラ数が多いジャンル特有なのかわかりませんが、「非公式だけど一定数支持を得てる設定」が存在しているような……?と思いました。ただ当方旬ジャンルのマイナーに沈みがちなのでアテにならないかもしれません。」

 ありましたね~~~~!あれどういう傾向なんでしょう。個人的な感覚では、どのジャンルにも接点のほぼないセットを作るオタクはいて、旬ジャンルは活動人数が多いのでそれに賛同する人も多くて顕在化しやすい…ということかなと。

※編者コメント:私はドマイナージャンルに一生常駐してますが、非公式の人気設定(?)は一応弊ジャンルにも存在します。

 

”救済夢”というジャンルの存在

「近年の鬼滅夢が多い理由の一つとして、確実に挙げられるのは「救済夢」の存在だと感じています。これは「死者を生存させるために主人公があれこれ頑張る」というジャンルです。
鬼滅の刃は魅力的なキャラクターが死んでいったり、なんなら最初から死んでいたりします。キャラクターの生存ルートや無血のハッピーエンドを夢見たい!という点も夢が強い理由かと思います」

 良い視点~~!!!これはかなり説得力のあるご意見だと思います!!!!
pixiv小説において「救済」というタグが観測されはじめるのは『コナン』からですが、今まで命名されていなかっただけで、個人サイト時代からこのシチュの人気は根強いですよね。最強チート夢主が降りかかる困難を全て撃破していく原作沿い長編夢小説を読んだことのある方も多いのでは?


当たり前だけど、やっぱり推しには幸せになってほしいですもん。その願いのために転生夢主、最強チート夢主、成り代わり夢主たちがひと肌脱いでいるわけですね。

鬼滅原作勢が毎週月曜にうめき声をあげているのを見ると、二次創作で幸せな世界を願うのは当然だと思います……。

※編者コメント:鬼滅の夢人気を分析したプレゼン内容への補足意見なのですが、これも一つの特殊設定と言えるかな?と思ったのでこのようなカテゴライズにしました。勝手にすみません。

 

二次創作におけるBL・夢・男女カプ

作品ごとのBL人気と夢人気

「キャラクタが強いと夢、関係性強いとBLに流れるのだなって剣盾とか風花雪月見てて思った。」
「夢の初動が早くてBLが後から伸びるのは、キャラ単体で完結する夢に対してBLは関係性の把握・妄想に時間がかかるのと、作中展開に従って出てくる因縁やら何やらで萌えに火がつくパターンが多いからかなとも」
刀剣乱舞、夢小説のほうが強そうに見えてBLのほうが多いのはやはりキャラクターの数の多さかと。BLはどのキャラに恋愛をさせるかという点に加えて受け攻め解釈があるから人気が散りがち、そして作品も増えていく。夢はA×夢主か夢主×Aしかないから」

 それぞれ面白い考察だと思います。『鬼滅』に関してはまさに作中の展開によって関係性萌えに火が付き、BLが伸びたのでは?と睨んでいます。
刀剣乱舞』は元々キャラ数も組み合わせも多い上に、次々新しく実装されてさらに関係性が増えていきますもんね。BL作品のCPが分散するのは当然ですし、作品総数でいうとかなりのものです。

※編者コメント:とうらぶは夢というか、カップリングの一つとして“刀さに”が人気な雰囲気も感じる。

 

名前変換機能実装前からpixivに夢小説が投稿されていた背景

 個人サイト時代に夢女子を経て腐女子になった身からすると、なぜ名前変更機能がないpixivで夢小説が流行っているんだろう?という疑問がありました。
その点についてTwitterでご意見を募集したところ、親切な方々が教えてくれました!!

 

「名前変換機能実装前から支部に夢小説(ネームレス)を投稿している者です。その理由は、
①いいねやブクマ数が目に見えて楽しい
②サイト制作・維持の手間がなくて楽
支部垢持ってた
④作品管理もそれなりにできる
と、気軽に書けて投稿できる点が気に入っているからです。夢小説は名前変換あってこそだと思いますし、他のツールも簡単にできるのでしょうが、自分としては一番身近なところにあったのが支部でした。」

「夢小説を読む人間全員が名前変換機能を使うとは限りません(デフォルト名や適当な名前で読むことも)。ネームレス小説のように主人公の名前を出さないようにすれば変換機能が無くても投稿できますし、オリジナル主として投稿している人もいますね。
 自サイトの夢小説をpixivでも投稿する人もいます。自サイトを持ったことがない人・Twitter・pixivでしか作品に触れたことがない世代が増えているのも理由だと思います。
 また、「刀剣乱舞」と「ちゃんねる系」はそれぞれの特性から「名前が出なくても自然なジャンル」と言えます。刀剣乱舞では「主」関連の呼び名なので名前が出なくても自然だし、付喪神相手なので「真名を握られると不都合が出る」という二次創作設定の流行も。ちゃんねる系は2chのように匿名性があるのが普通です。
まとめると、
・名前変換をしない(読み手)
・名前を出さないようにしている(書き手のテクニック)
・自サイトの宣伝、兼用
・サイトという概念がない
・名前を出す必要がないジャンル

といった感じです。」

  夢書きさん達からの貴重なご意見、ありがとうございます~!!!!
サイト制作・管理って大変だし、過去の個人サイト文化に触れてなかったらわざわざ作ろうとは正直思いませんよね、もとからpixivのアカウントを持っていたらなおさら。評価が可視化されやすいのも良い点。個人サイトでの評価って、アクセス数と拍手数・コメントとかでしたよね…?※編者コメント:ランキングサイトもあった。

 

書き手のテクニックで名前が呼ばれなくても不自然じゃない流れを作るの、すごいですね!?文章力がないので尊敬してしまった。刀剣乱舞が名前を呼ばれなくても自然なジャンルという視点にも納得です。

 

名前変換機能がなくても夢が書きやすいジャンルでまず流行したことで、「pixivで夢を書いてもいい」という雰囲気ができて、その後のコナン夢等の流れに繋がっているということかな。そして鬼滅の大流行でとうとう運営が動き、変換機能が実装されたと。

夢女子、歴史を動かしてるじゃん!!!すばらしい。行動すれば結果が付いてくるということを夢女子さんたちは実証しています。

 

やっぱり腐・夢界隈は規模が大きい

「普段pixivで腐や夢でなくNL(男女カップリング)や男性向け・カプ要素無しの二次創作小説を楽しんでいる者なのですが、改めて各旬ジャンルや腐・夢界隈の方々の作品数と盛り上がりの規模の大きさには驚かされます。NL界隈でも目立って盛り上がっていた印象のある完結時NARUTOさえも、やっとのランキングインだったのですねぇ…(笑)改めて皆様に敬意を払ったうえで、こちらもまた色々と精進して参りたいと思いました。」

 貴重なご意見、ありがとうございます!!!
やはりpixivという場所ではBL・夢が強いですね。でも、夢小説も刀剣乱舞の登場まで身を潜めていたので、今後爆発的に男女カプが流行るかもしれません。可能性は無限大ですね!!!
これからも作品作りがんばってください。応援しています!

 

 “NL”という呼称について

「恥ずかしながら、NLという呼称が問題視されていることを初めて知りました。NLに代わる呼び方はどういったものになるのでしょうか。私も今後はそちらを使っていきたいです!」
 異性愛がノーマルで、同性愛がアブノーマルだという考えを前提にした“NL”という呼び方って、おかしくない?という問題提起に対するコメントですよね。一応、他にはHL(ヘテロラブ)、男女カプが使われているのかなと思いますが……、今後また新しい呼び名が生まれるかもですね~。

※編者コメント:前回の記事に注を付けたのは編者ですが、わたしもそうおもいます。ただ、男女CP創作界隈の事情に詳しくないため、どの代替候補が一番広く用いられているのかは存じません、すみません……。

 

女性向け二次創作以外の話

男性向け二次創作小説事情

「男性向け二次創作(小説)だと、ハーメルンのランキングを見ることになるのかな。」
「逆行とかいうエヴァの二次創作で死ぬほど見たやつが腐女子界隈でも流行ってたとは」

 ハーメルンのことを知らなかったのですが、こんなサイトがあったんですね~!!男性人気の高い作品の二次創作等が主に投稿されています。

でも、作品のジャンルはかなりバラバラですね。かなり前に連載終了した作品の二次創作も多くあるので、あまり皆さんトレンドにはこだわらず自分の好きなものを書いているように感じました。


ランキングを流し見るとやはり逆行・転生が流行しているように見受けられるので、作品ではなく内容のトレンドなら追えると思います。どなたかご興味のある方は是非。

「数年間毎日pixivのランキングを監視する仕事をしていたから懐かしい。男人気小説ランキングだとなぜかずっと俺ガイルが人気なのとても不思議だった。」

 pixivのランキングを監視する仕事、比喩ですか?ガチですか?ガチなら私の天職じゃないですか?斡旋お待ちしています。

 

女性向け二次と男性向け二次の影響関係

「 (とうらぶと艦これは特殊な関係ですが)ピクシブ小説の中では男性向け小説から影響受けてたり影響及ぼしているものもありますので、そちらとの対比もあればまた面白いかなと思いました。」
「タイバニやFree!はモブレやモブ×キャラがそこそこあって、男性向けみたいだと当時思っていたことを思い出したりもしました。今だとそこそこメジャーな性癖?になった印象です(地雷の人も確実にいますが)」

 8-9年前はモブもの結構ありましたよね~。私も同様のことを思っていました。
これはちょっとまだ感想レベルなんですが……二次創作作品の内容にも社会全体の人権感覚のアップデートが反映されているのかなと感じるんですよね。


作中に女性の権利について言及があったり、いにしえBLのテンプレ、“スーパー攻め様”ではなく、“スパダリ”と呼ばれる「ハイスペックのみならず料理も上手、余裕と包容力をあわせもつ攻め」像が流行していたり(刀剣乱舞の燭台切がよくそう呼ばれていますね)。時代背景の変化とともに好まれるシチュエーションも変わっている、という説……をまた機会があれば実証したいかな~!これは先行研究ありそうですが。

 

ハーメルンを拝見していると、「元ブラック鎮守府で提督に就任した俺」という内容の「ブラック本丸ネタの逆輸入」とも言える小説を見つけて大興奮しました。

“逆行”はもともとエヴァで流行していたというご意見もあり、男性向けと女性向けで流行の循環があるのかなとも思います。いったいどこで繋がっているんでしょう…?これも今後の課題ですね。

 

オリジナルBL小説界への特殊設定の流入

「二次がわからないオリジナルBL小説書きの私は、二次の流行がオリジナルBL小説界隈に流れてきてるなぁと思うなど。ちなみに今、こっちは、FT世界(ゲーム世界含む)への転生物とオメガバースに席巻されてます。」

 へ~~!!!そうなんですね!!今や転生ものはすべての創作ジャンルで流行ってますね…。オリジナルBL同人界のトレンドは、同じくオリジナル小説の、いわゆる“なろう小説”とも似通ってくるのかな~?

 

あとは商業BLとの影響関係もあるのかな?商業では大きなオメガバースブームがあったような気がするし、ここらへんと比較しても面白いかも! と思ったので、ましゅまる(2.5次元プレゼンの人)に協力してもらって、BL情報サイト「ちるちる」でオメガバースもの商業作品の発売数の推移を調べてもらいました。 

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「2015年にふゅーじょんぷろだくとという出版社が「オメガバースプロジェクト」を立ち上げました。これが火付け役になって、どんどんメジャー化したと思われます。小説の出版がコミックと比べて遅いのは、コミックのほうが売れ行きが良くて新しいものを試しやすいからかな?」
「特定の年にドーン!と流行ったわけではなく、だんだん概念が広まって、特殊設定というよりも1つのジャンルとして受け入れられつつあるのかもしれない」

 

突然頼んだのに即集計してくれました。愛。
これを見ると、確かに2020年のオリジナルBL同人界隈をオメガバースが席巻していてもおかしくないな~!と思いますね。

ところで、オリジナルBL同人の方も主な投稿場所はpixivなのでしょうか?もし他のサイト等が主戦場だよという方おられたら教えていただきたいです~!

 

pixiv小説ランキング動向に関する意見

ランキング調整疑惑

「2016年頃の赤安は流行りすぎて5月6月辺りはランキングを占拠してたのに急に入らなくなったので、調整かけられた?というお話を聞きました!本当にかけられたのかは分かりませんが、参考までに。」

 マジですか!?ウォッチャーとしては聞き捨てならないですね。正確な歴史を把握したいのに……。大事な史料を毀損しないで欲しいです。
あの頃の赤安すごかったですもんね~!!!4/10の金ローであの頃を思い出した方も多いと思います。

 

直近のランキング動向

「ここ2~3年ほぼ毎日小説総合ランキング見てますが、ここ最近いきなりツイステが相当数ランクインしていまして恐れ慄いてます。初動が速すぎてオタクってすごいですね。」

 おっ同業者さんですね。(?)
ツイステの勢いは私も感じていました。やはり旬ジャンルが席巻するのって、一瞬…。
これから春アニメ等もどんどん始まりますし、2020年のトレンド動向も目が離せませんね。

 

今後の要望

前後の期間のトレンドも知りたい

「拝読した記事は2011年以降の9年間を対象とした考察でしたが、それ以前の年代にフォーカスするご予定などはございますか……?現在ジャンルを時代に逆らうように移行しまして、"ゆりかごから墓場まで"なんて異名を持つらしい忍たま界隈に流れ着いてしまったのですが、そういった2000年初期以降の9年間に照準を合わせた二次創作動向傾向などありましたら是非読みたいです……!!」

 それは私も読みたいです!!!!!
問題は、2000年代は皆さん個人サイトで同人活動をされていたので、pixivランキングのように、あらゆるジャンルの二次創作を一元化した指標がネット上に無いことですね……。当時個人サイトを開設されていた方も、pixivに移動して当時のサイトは削除してしまっていたり。


過去のトレンド動向の調査としては、先述したタルトさんのコミケ出店数統計が現状一番確かな記録かな~と思います。

せめて昔のサーチ集、サーチ、サイトが現存していたら調査できる可能性があるんですけどね…。皆さん当時どのサーチ集を利用していましたか?私は苺みるくを使っていました。

※編者コメント:私はジャンルごとのランキングとか同盟サイトからリンク飛びまくってたよ!

 

忍たまは根強いファンがしっかり支えている素敵なジャンルですよね。10年くらい前に一度かなり流行ったと思うんですけどね~、その頃私もハマってましたし……。

ましゅまるに話を聞いてみたところ、数年に一度忍たまが流行る「忍たま彗星」という現象があるそうで。なんやそれ。2011年付近に彗星が来ていて、その頃に映画も公開されたそうです。確かに観に行った記憶あるわ。

2020年にも彗星が来てくれるといいですね!!集計方法がないか検討してみます。ありがとうございます!
  
「欲言えば、10年後あたりにまたピクシブ小説ランキング・ジャンル推移をまとめてほしいですね」

 どうだろ~~!!!10年後ってpixivまだ生きてますかね?また新しい投稿サイトが台頭していてもおかしくないですし、個人サイトの時代に回帰するのかもしれない。
もし個人サイト時代に突入してしまうと、体感的なトレンドを数字で把握することは非常に難しくなってしまうのですが、今のような投稿サイトに一元化されている状況が続くようならまた推移をまとめてみたいですね。

※編者コメント:10年後に私たちが生きてると良いな。あとこれからはTikTokの時代

 

その他感想

2016年に遊戯王の映画は流行っていた

遊戯王流行ってた!流行ってましたよ!!!!(遊戯王オタク)
流行ってはいたけど、遊戯王映画あったの?とかやっぱり言われちゃってたので、まだまだ広報活動が足りなかったんだなって思いました……。
 当時いつもより公式は宣伝頑張ってたと思うんですがね、約一年ぐらい劇場で上映されてましたし……。大手ジャンルの宣伝には追い付きませなんだ……。」
「2016年の人気作品の映画に遊戯王が入っていたので(入っていません)嬉しかったです!!」

 やっぱ流行ってましたよね?というわけで2016年の覇権は遊戯王です。(歴史修正)
皆さん、この外出自粛期間に2016年の覇権作品である遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONSを見てください!!
dアニメストアでは無印~ARC-Vの配信も行われてるらしいですよ!!!!


以上、非常に長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。
皆さんからの熱い意見を読んだら記憶の蓋が開いてしまい、ついつい熱中してしまいました。
オタク活動ってやはり自由だし楽しいですね!こうしてたまに回顧(懐古?)することで新しい気づきがあるかもしれないし、興味を持って昔のランキングを見たらその時のジャンルにハマってしまった!ということもある。

私が言及したことに対する補足、訂正等ございましたらDM等送っていただければと思います。記事をご覧いただきありがとうございました~~!!
たのしいオタクライフを!!!!