だしまきたまごがあまくてこまった

てぱとら委員会のブログです

今更感のすごい『好きよ、純情反抗期』の感想

 

今更かよ、っていうのは百も承知なんですが最近『好きよ、純情反抗期』が好きだなぁと思うに至りました

 

https://youtu.be/5kPe_AEC3h8

 

この曲が出た当時はたぶん高校生くらいだったと思うんですけど、その時は全く興味がなかったです

恋愛もクソも、当時の私はそもそもそういうこと自体がタブーだと思っていた節があったし、周囲の風潮もそんな感じだったので、何回歌詞を読んでも「わからん」と思考停止してたんじゃないかな わからんけど

 

でもこの曲の主人公も恐らく(私の個人的な解釈だと思うけど)「恋愛=タブー」な環境にいるんじゃないかと

じゃないとそこらじゅうの人間がやりまくっている恋愛なんてものに反抗心を宿さないと思うんです  大人になったら急に手のひら返して恋愛推進されるしね  なんやねん

 

真夜中に抜け出してみたり、背伸びしてみたりと恋愛感情に左右されまくってる中高生は周りの大人からみたらさぞ心配の種だろう、と今の歳になってやっとわかるけど、これくらいの歳の時って大人が先回りしてしてくる心配とか助言とかが死ぬほど鬱陶しく感じられたりしますよね

個人差はあるだろうけど

自分も一生懸命に現状を鑑みて真剣に判断してるのに、自分の考えよりもさらに先を見据えて考えることが出来る周りの大人との違いを目の当たりにすると、どこかバカにでもされたような、なめられたような気にもなってついつい、「もう子どもじゃない!」とか「私の勝手でしょ!」とかテンプレ文句を言い返してしまう…うーん典型的な反抗期って感じ

 

大人からしたら「受験」というある意味人生を左右する問題を蔑ろにしてまで、特に結婚するわけでも一生添い遂げるわけでもない相手との「恋愛」に振り回されるなんて愚かにうつるけれど、この時この瞬間その子にとって恋愛は受験に匹敵する(むしろ勝る)問題なんだろうな、とこの曲を聴いてるといつも感じます

歌詞のあらゆるところに散りばめられている反抗心が、この主人公の必死さを表してるなぁと

 

 

歌詞の中で1番好きなフレーズが

「お母さんだって 夢中で誰か愛した事あるでしょう」

なんです

 

このフレーズの1番のポイントが

お母さんが夢中で愛したことがあるのが「お父さん」じゃないところだと思います

 

 

お母さんだって 夢中でお父さん愛した事あるでしょう

 

 

いや〜〜ダセェ

レジェンド級にダサい

 

 

そもそもお母さんが愛したことがある人がお父さんだけなんてほぼほぼあるわけないじゃないですか  何年生きてると思ってるねん 

すでにこの歌詞に"誰か"が書かれているから、「いやいや誰がお父さんって書くねん」と思うと思うけど、たぶんほとんどの人間に書かせたら書くって絶対

 

大抵の子どもからしたらお母さんが夢中で愛したことがあるのはお父さんだけであってほしいし、基本的に子どもはお母さんの「オンナ」の部分なんて見たくないと思いますし、お母さん側も見せたくないでしょう

でもお母さんって生まれながらにお母さんじゃなくて、何年も前から目の前の娘と同じプロセスを辿って巡り巡って今ちょうど お母さん っていう存在になってるだけなんですよね

そのことをちゃんと理解してるからこそ、「夢中で"誰か"愛したことあるでしょう」っていう歌詞が書けるんじゃないかと勝手ながら感じます

 

 

そして子ども側からお母さんに「(お父さん以外の)誰か愛したことあるでしょう」と言わせることで、先述したお母さん側が子どもに隠している「オンナ」の面を子ども側が暴いている構造にしたところもすごい

隠していた側面を子どもに「知ってるぞ」とでも言わんばかりに言われてしまったらどうやったってお母さん側は怯みますよね

子どもってなぜか相手が言ってほしくないことを直感的にわかっちゃうし言っちゃう

でもたぶん怯んだお母さんを見て、自分の売り言葉なのに「あぁやっぱりお父さんだけじゃないんだ」と言ったことを少し後悔しちゃったりするんじゃないかな……まぁこれは完全に私の妄想だけど

 

 

 

 

自分が歌詞の主人公と同年代の時になんとも思わなかった歌詞を時が経ってから「いいなぁ」と感じられるのは贅沢なことだなぁ

ハロオタやってると当たり前にありすぎて忘れちゃうけど

『低温火傷/つばきファクトリー』

久々すぎですね。

多分わたし以外の管理者はこのブログのパスワード忘れてるかなと思って私物化してるけどいいかな…(ごめんな)。

 

ハロプロの歌詞って口に出して読みたい、できたらリズムつけて口ずさみたいパンチラインがサイコーに多くて人生の友って感じなので

今日は最近うわーと思ってるワンフレーズについて書くよ。

 

つばきファクトリーの『低温火傷』からだよ!

 


つばきファクトリー『低温火傷』(Camellia Factory [Low-Temperature Burn])(Promotion Edit)

 

 

「男の子って身軽なのね 君がすこし憎いよ」

 

いや、男の子ってマジ身軽ですよね(100わかる)。

わたしの周りでも友達や先輩はバンバン世界一周に行っちゃうし、ノリだけでヒッチハイクなんかもやっちゃう。酔いつぶれたら河原で一人夜を明かし〜みたいな。

楽しそうだなーとはおもうのに、わたしはどれもやったことがない。

 

例えば彼氏と話してて、「気持ちいいし深夜に散歩行ってみなよ〜」とかなにげなく言われると、ふっと距離感を感じるんですよ。

 

陽が落ちた後は、駅からの帰り道ですら何度も振り返りながら歩くのがわたしの日常です。こわいもん。

実際、一人暮らしの女友達が家を突き止められて、強盗やストーカー被害にあった話は1度や2度でないし。

ひきょうな加害を受けやすい属性であることを常に常に意識して生きている。

自意識過剰と言われたとしても、いざ何かあったら誰も守ってくれないから。

仕方ないけど!

 

そりゃ女の人でもアクティブに生きている人はいるし、それはかっこいいなと思う。

でもそういう人も何も考えずに飛び込んでいるわけではなく、やっぱりリスクは頭にちらつくだろう。

 

だから、“大学生らしい”無邪気な無茶をしている周りの男の子を見ていると、

元気だしアホだなあと思うと同時に、死ぬほど冷たい気持ちも湧いてきます。

 

わたしはヒッチハイクも世界一周も別にしたくないからしてないつもりだけど、その「したくない」要因は、そもそも男に生まれてたら考えずにすんでたのかな。

眠れない夜に一人でぼーっと深夜徘徊できたのかしらって。

彼氏と同じ体験を共有できたかなって。

 

 

恨み言を言っても仕方ないので、話を本題に戻そう。

 

低温火傷』は片思いの心境を歌った曲ですが、

片思いってやるせないですよね。てか両思いでもやるせないか。

つまり、他人を好きになるってやるせないですよね。

 

けっきょく他人って自分と違う人だから、

自分と違うところを好きになったはずなのに、

その自分と違うところに苛立ってしまう…

 

好きだから自分の思い通りに行動して欲しいけど、

でももちろん自分の思う通りにはコントロールできなくて、

そうなると可愛さ余って憎さ100倍てきな気持ちになっちゃうことがある。

 

この曲の主人公の片思い相手の男の子は、「来週スノーボード行くらしい」んだけど、

多分主人公はそれを知って微妙な気持ちなんですよね。

自分が放って置かれるのが嫌なのか、その日にデートできたらいいなと妄想してたのか、他の女の子が同行するのが癪なのかはわかんないけど、えっマジか…へえ…って思ってる。

 

別に男の子はスノボに行こうが深夜に散歩しようが、自由ですよ。

彼らはもちろん自由になんでもしていいんだ。申し訳なさや罪悪感も持つ必要はない。

 

でも、例えばわたしがそうしてほしくないときに好きな男の子がそうしていると

自分を苛つかせているのは、彼が異性だからこそ持っている「身軽さ」なんじゃないかとひがみっぽく感じてしまうことはある。

 

そんな時、大好きなはずなのに、それと同時に、身軽なあなたが「すこし憎いよ」とすら思ってしまう。

 

単に他人の行動に勝手に期待して当てが外れているだけなのに、

自分が持っていない「身軽さ」への恨めしさをぶつけてしまう。

 

一言で言えばどうしようもない最悪の八つ当たりなんですけど、そういうあるある〜な気持ちをすくい上げた児玉雨子氏やるやんけ!って感じだし、おしゃまなつばきファクトリーにはぴったりの曲だな、とおもいます。

 

ところで、自分の中で一度湧いてしまったこういう不条理な気持ちとどう戦ったらいいんですかね。教えて雨子先生。

それすらも受け入れながら、自分と相手を愛するしかないのだろうか。

 

ではまた思いついたら書きます。

 

低温火傷

低温火傷

 

バースデーイベントのすゝめ

 

 

このブログの存在すらも忘れつつあった2017年夏。

友人のバースデーイベントが死ぬほど楽しかったので、備忘録を兼ねてその顛末を書きます。

 

バースデーイベントと言っても、ただの誕生日会ではありません。

 

ここで言う「バースデーイベント(以下、BDイベ)」とは、ハロヲタの皆さんご存知のあれです。

※毎年ハロー!プロジェクトメンバーの誕生日を祝って開催されるファンクラブイベント。当該ハロメンが自由にセットリストを決め、企画を考えて、自分のファンといっしょにワイワイお祝いするお楽しみ会。普段歌わないハロー!以外の曲を選ぶメンバーもいれば、他のメンバーをゲストで呼んで即席ユニットを組んだり、企画コーナーでオタクを晒し上げると交流を深めるメンバーもいて、けっこう内容の自由度が高い。もちろん映像化もされます。

 

なぜどのように友人のBDイベを開催したのか、話せば長くなるけど大事な話なのでめっちゃ聞いてほしい。 

 

 

ーーー

事の起こりは私がいつものようにシャワーを浴びながら、来世で自分がハロメンになった妄想を繰り広げていた時の話です。

 

(あ〜、絶対にBDイベで『抱いてよ!PLEASE GO ON』を完璧に熱唱してオタクにハロプロの未来”って呼ばれてえ〜、、)

(しっとりと『スッピンと涙。』で小田さくらさんの後釜を狙うのも捨てがたいし、ゲストといっしょにピチピチギラギラの衣装でDEF.DIVAも…)

 

我ながら来世への高望みが激しすぎて、こういう人間から順番に転生に失敗しそう。 

まぁ普段ならば、そのまま風呂場で後藤真希に憧れる新人ハロメンになりきって隣人に迷惑をかけるだけのしがないハロプロおばさんなのですが、その日の私はちょっと賢かった。

 

(あれ、ちょっと待てよ……?!!!

確かに現世の私はハロメンではない……でもよく考えたらハロメンじゃないとBDイベを開催しちゃいけない道理はないのでは?????)

 

今年一番のひらめき。

 

速攻で「なあ、BDイベやりたくない?」と仲間のハロプロオタクたちに連絡したところ、「絶対にやりたい」と力強い返事を貰い、決行に至ったのでした。

やっぱりみんな一度は概念としてのハロメンになりたい。

 

ーーー

 

とりあえず、全国に散ったオタク仲間が集まれそうなのがお盆っぽかったので、適当に夏生まれ(7月…)のオタク(嗣永桃子推し)のBDイベントを開催することに。

 

ちなみに途中まで祝われる本人不在の中で企画が進行したにもかかわらず、とても飲み込みが早くて助かった。

 

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そんな感じで衣装とセトリと企画は本人に決めてもらうことにしました。

当日までワクワクです。

 

ーーー

 

そんでもって他のオタクたちが

「旧き良きカラーBDTシャツを復活させたい、ファッキンクールハロー*1

「友達のアクリルフィギュアスタンド*2集めたい、ごはんといっしょに撮りたい」

 

とか散々いろいろ言い始めて楽しくなってきたので、全部実現させることにした。みんなでTシャツデザインしたり、主に二次元同人グッズを作っている業者さんにアクスタ作成を頼んだりしてくれました。

 

こちらがその力作たち。めっちゃ良くないですか???

 

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バースデーTシャツ(3600円)

 

 

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アクリルフィギュアスタンド(600円)

 

夏コミ前の忙しい時期に、謎のポーズを決める一般人女性の写真が突然送りつけられてきた業者さんはさぞギョッとされたことだろう。申し訳ない。

でもこれ無限に遊べるわ。 

 

ーーー

 

そしてそして、アイドルイベントの要とも言える会場選び。本家ハロプロBDイベの会場も、そのハロメンがソロでどこまで集客力を持っているかの一つの指標とも考えられており、毎年注目が集まっている。

 

最初はイベントスペースを借りることなんかも考えたのだが、

・カラオケできる

・ステージがある

・ケーキの持ち込みができる

・着替えたり騒いだりしてOK

という条件をクリアできるのはやっぱりでかいカラオケのステージルームだな、ということでいろいろ検索してみたところ、某ジャンカラセンターステージのルームを発見。これ実質横アリでは?

 

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お店に予約の電話をしてもらったら、「60名までのお部屋となりますが…」とのことだったらしいが、7人で予約させてもらえた。キャパまで実質横アリだった。

ガラコンで申し訳ないけどとてもありがたい。

やっぱりでかい箱が決まると、最高のイベントにしような!の機運が盛り上がってくる。

 

ーーー

 

さてBDイベといえば、忘れちゃいけないのが司会である。

ハロー!のBDイベではアップフロント所属の芸人(9割方、上々軍団)が司会進行を担当することが多いので、今回もそれに倣って、不肖私が司会を担当することになった。というか、気づいたらそういうことになっていた。

 

とにかくお前はキャラ的に啓太な!さわごろは無理やろ!と言われていたので、本人から事前に台本ももらって、啓太っぽい休日のお父さん風衣装も用意した。

しかし台本を持って練習したところ、啓太のテンションもなかなか表現できない。

そこで、「もうまことでいいよ」ということになった。それハロコンや。

 

どうでもいいけど、気を取り直してまことの司会進行を勉強しようとYouTubeを開いたら、まことがハロコンで『Yeah!めっちゃホリディ』を踊りながら退場する動画を見つけてそればっかり見てしまった。

 



  

ーーー

そんなこんなで、待ちに待ったBDイベ当日!!!

別にハロヲタでも何でもない友人も呼んでしまったので、ますますよくわからない雰囲気!!とにかくこの日がやって来た!!

 

とりあえずイベントの詳細は以下の通りです。

せっかくなのでイベレポ形式で書きますね。

 

 

まずは司会による挨拶。

友人たちが友人のオタクと化しているのを見て笑いが止まらない。 

 

1.初めてのハッピーバースディ!/カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)

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歌いながらの登場で会場一気に盛り上がり、コールが飛び交う。

本人曰く、めっちゃアガりすぎて予定してたファンサとかアレンジが全然できなかったらしい。やっぱハロメンはすげーな。

 

ここで本人挨拶。

「今日は、私の初めてのバースデーイベントに来てくださり、ありがとうございます!」

「楽しみにしてたのに行けなかったーって方もいらっしゃると思うんで、そういう人にも届くように、ファンの皆さんに少しでもお返しができるように、頑張りたいと思います!よろしくお願いしまーーす!」

「23歳になった、ちょっぴり大人の私をお見せできたらいいなと思います♡」

 

徐々に友人が概念としてのハロメンに近づいていくのを感じました。

 

 

2.「〇〇ちゃんに質問」のコーナー 

事前にオタクたちから募集した質問に答えるおなじみのコーナーも、忠実に再現するとすごく楽しい。

 

  ・今日のお昼なに食べましたか?

「朝からイベントのリハーサルをしていたので時間がなくて、梅田で乗り換えの時に親子丼を食べました」

「23歳らしいお昼ご飯ですね」

「大人なので」

 

座右の銘はなんですか?

「私もそろそろ座右の銘欲しいな〜と思って名言をググったら、瀬戸内寂聴さんが「辛いことがあっても逃げたら貧相な人生になる」とか言ってたんだけど、あんた出家してるやん!と思ってドン引きしました」

「中高生の頃は「ポテチは1日1袋」だったけど、さすがにやめたい…この1年で見つけられたらいいな~」

 

  ・好きなナス料理は?

「私はナスが大好きなんですけど、実は高校まで食べたことがなかったんです。」

「一度もなかった?」

「はい。でもある日さんちか*3を歩いてたら、「ナス、ウマいで!」っていう天啓が降ってきて…PRONTOに駆け込んだんです!そんでナスとベーコンのトマトソースパスタを食べたら美味しかったの!」

「油の染み込んだナスが好きなのね、だから一番はナスの揚げ浸しとかになってくる。」

 

「でもこの間はま寿司で食べたナス寿司が美味しかった、シャリに揚げ浸しのナスがボーンって乗ってる!スシ飯とも意外と合うよ」

 

  ・最近オススメの化粧品はなんですか?

「貴重な女性ファンからの質問ですね」

「これね。私は基本的にデパコス大好きだけど、韓国コスメ試したくてエチュードハウスに手を出したら肌に合わなかった…」

「でも目の下に引くキラキラのラメのアイラインは可愛くって今も引いてる!女性ファンの皆さんには使っていただきたいな〜とおもいます。」

 

 

3.安心感/Berryz工房

 

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間奏中のサインボール投げでめっちゃ沸く。

ボールは前日に買いに行ったらしい。

 

 

4.「〇〇ちゃんクイズ」のコーナー

オタクが全員で力を合わせて全問正解しないと次の曲が聴けない、オタクに厳しい仕様。

身を乗り出して口々に答えを叫ぶオタクのみなさん。

 

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・〇〇ちゃんの血液型は?

・〇〇ちゃんは左右で視力が異なりますが、悪いのは左右どっち?

・〇〇ちゃんの本籍地は?

 

…なんだかんだ何人かが適当に言ったら絶対当たる問題なので優しいな、と思った。オタクへの対応も推しに似るのかな。良い話ですね。

 

 

5.もしも…/ハロー!プロジェクト モベキマス

もうメッチャ楽しい。最高のセトリ。サンキューつんく♂

 

 

6.「〇〇ちゃんのお悩み相談」のコーナー

これは本人が東京の友達に事情を話して相談を集めてきたらしい。よく付き合ってくれたな。

 

・チケットがご用意されません。どうしたらいいですか。

「東京には人が多すぎるのが問題なんです。」

地方に移り住むか、自分のしたい現場を自分たちの手で作っていく、どちらかが大切だと思います!」

「素晴らしい」

 

・友達の誕生日のお祝いを考えていたのですが、地元の友達のお祝いに勝てません。どうすればいいですか。

「これはね、東京の友達が、私の誕生日を祝ってくれるつもりだったんだけど、このイベントがあると知った瞬間にやる気をなくしてしまった。」

「勝てるわけないやんみたいな……君たちは2歳年下の女の子を泣かしたんやで!!!!

「ちょっとした出来心で…」

 

 

7.シャイニング 愛しき貴方/カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)

 

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「SHINE! YOU'RE SHINING...IT'S SHINING IN MY HEART...」

 

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 「…」

 

名曲を滔々と歌い上げる友人と、ピンクのサイリウムを掲げて神妙に聴きいるオタクたち。

この辺り、十年来の友人たちの関係性が完全にアイドルとオタクのそれになっていたので、やはり人間は場によって支配されるものだと感じた。

 

そして曲終わり、

サプライズ風にバースデーケーキが登場!

全員でハッピーバースデーを合唱し、一同拍手。

 

 

8.マジ グッドチャンスサマー/Berryz工房

楽しいイベントもこれでおしまい。友人は惜しまれながら退場。

あ〜さいっっこうのセトリだった、、、、

 

余った時間はケーキ食べたり撮影会したりステージで自由に歌って踊ったりしました。

 

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よく啓太のブログに載ってるショットを再現したり 

 

ーーー

 

まさか私も人生初のイベレポが友人のBDイベになるとは思わなかったのですが、「お前は啓太担当だからイベント終了後にエモいブログを書け」と言われていたので、とりあえず記録を残そうと思って書いてみた。

 

何が言いたいかというと、とにかく楽しかったわけですよ。

 

全ハロオタの皆さんにおすすめしたいし、何ならハロオタ以外にもおすすめしたい。

別にハロプロ曲じゃなくても絶対楽しいと思う。

 

単純にアイドル体験をすること自体ももちろん楽しかっただろうし、友人を全力で推すのも愉快で楽しかったと思うけど、

 

なんていうか、久しく忘れていた「文化祭感」があった。

みんなで一から作り上げる現場は何より楽しい。

 

普段現場では出来ない*4 最前での推しジャンもできる。セトリを事前に知って完璧に予習することもできるし、絶対に知りたくない人もSNSでのネタバレに怯えなくても大丈夫。

 

最高の遊びを覚えてしまったので、とりあえず飽きるまでやりたいと思います。

これからの人生もまた面白い遊びを考えて生きて行きたいです。

 

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23歳おめでと!

 

 

*1:ここ数年ハロプロが推し進める謎の政策。クールなハロープロジェクトを目指す計画のことを指すっぽいが、これのせいでアイドル現場の醍醐味ともいえる推しメンのメンバーカラーのTシャツが発売されなくなってしまった。オタクの恨みは深い

*2:ハロメンの全身写真を最近はやりのアクリルスタンドにしたもの。ハロプロ公式ショップの人気商品である。発売日にはハロショに行列ができる

*3:神戸三宮の地下街です

*4:迷惑行為です

『泡沫サタデーナイト!』にモーニング娘。の永遠を見た

 

泡沫サタデーナイト!』の盛り上がりを見て、ハロヲタおじさんおばさん各位の御多分に洩れず、「あの時」を思い出している。

 
2012年の夏、女子高生だった私は下校中の電車で友達とギャンギャン騒ぎながら、Youtubeに上がったばかりの『One・Two・Three』のMVを見ていた。ついこの間のような気がするけど、まだまだスマホは3G回線、娘。公式動画も低画質でアップされる時代だった。
 
ガタガタに荒い動画でも娘。たちの今までにない煌めきは明らかで、「鞘師さん最高」「だーいしのウインク光ってる」とか何とかブツブツ言ったのを昨日のように思い出す。
ハロー!を追いかけて以来体験したことのないようなCD売上枚数の伸びに一喜一憂し、リリイベでのさゆみの涙に感極まり、なんか楽しかったなぁ。
 
そして結局、あの一曲が娘。の歴史を変えたのだった。学校でもモー娘。ってカッコイイらしいね!と言われるようになったし、モーニング娘。は「123以前/以降」で語られるようになった。
 
とはいえ『One・Two・Three』は確かにモー娘。復活の狼煙ではあったけれど、各メンバーの顔と名前が広く浸透するまでには至らなかった。せいぜい10年戦士で既に名の通った6期の道重・田中、センターを務めた鞘師が注目を集めた程度じゃないだろうか。
 
 
怒涛のごとく時は流れて2016年、娘。復活のアンセムを支えた田中れいな道重さゆみ鞘師里保は早くも娘。を去ってしまった。
 
つまり今モーニング娘。'16として活動しているのは、娘。再ブレイクが囁かれ始めた時の「後列メン」と、その後輩たち。
そんな彼女たちが、あの時を彷彿とさせるような盛り上がりを私たちにもう一度感じさせてくれているんだなぁ。
そんなことを思って、『One・Two・Three』のMVを見返してみた。
 
***
この曲はやっぱり何度聞いてもカッコよくて、新しくて、可愛くて、キラキラしている。
 
けれど、何と言っても9期・10期の幼さ!!!少ないパートで振りまく可愛さはたまらないんだけど、これってまだこの子達が自分の秘めたる魅力に気づいていないからこその魅力だったんだな。
 
9期・10期は加入してまだ1年程度。今の12期と同じくらいかな。
そう思えば、これは羽化の始まりの曲に過ぎなかったのだ。モーニング娘。にはこんなヤバイひよっ子達と強い姐さんがおるで!!!ぐらいのもんだったのであって、そりゃあだってイェイイェイイェイェイピョコピョコジャンプした半年後ですもん。
 
一方その中で鞘師だけは飛び抜けて自分の魅せ方を分かってたし、鞘師は既に何歩も先をひょいひょいと歩いていた、新しいモーニング娘。を作るにあたって鞘師がすべてを背負っていたのだな、と改めて感じたのでした。進化が早いタイプのポケモン
 
この4年は鞘師の時代だったんだなぁ。
 
***
 
 
そしてこちら、先日公開された泡沫サタデーナイト!
MV公開から3日で33万再生。近年の娘。楽曲ではちょっと見ない勢いだ。
 
外部アーティストによる赤羽橋ファンク、THEハロプロ文法、イケイケノリノリのディスコナンバー!!これが新しい『LOVEマシーン』!!
 
そんな風に語られるこの曲は、正直に言ってつんく♂楽曲ほどのパンチ力や素っ頓狂な気持ち良さはないと思う。なんというか、おしゃれでキャッチーで優等生的だ。鞘師さんが抱えていた、年齢不相応の寂しさみたいなものが無くなった今のモーニング娘。にしか歌えない楽曲なのかもしれない。
 
ではどうしてこの曲が魅力的で、とにかく全人類に聞いて貰いたいのか。
 
まず、作詞曲を担当している津野米咲(赤い公園)は、ハロヲタを公言して憚らない24歳。
そして、この曲を歌って踊る'16のメンバーは、モーニング娘。に憧れて育った世代や、さらにその娘(!?)にあたる世代*1だ。
 
メンバーもアーティストも、かつて「モー娘。」を見て、歌って踊って憧れて育った女の子たち。
そんな彼女たちが体現するのは、小さい頃に娘。を見て育った世代にとっての「モー娘。」だ。あの「モー娘。」が2016年に、2016年のやり方で再生産されているのだ。
 
***
 
土曜の夜は踊りに繰り出して、はしゃいで騒いで、、、、楽しいはずのこの曲は、なぜかどこか切ない。
「あと58秒で終わっちゃうんだって!」というセリフとともに始まるカウントダウン。必ず迫り来る終わりの時を感じながら、それでも自分の力全部を集中させて今を楽しみたい。
 
「アイドルは終わりがあるから美しい」、そんな言説がある。若さゆえの刹那的な輝きが美しいのだと。
 
確かに、卒業加入を繰り返すことで命を永らえるモーニング娘。に永遠はありえない。今作だって、まだ若い9期メンバー・鈴木香音の卒業ナンバーだし、コンサートごとにメンバー構成が入れ替わることだってざらにある。
 
でも、憧れと文化の継承を繰り返す中で、娘。達はずっと何かを守り、温め続けているような気がする。
 
だって今のメンバー達も、先輩や同期の背中を見て、いつしか自分の魅力に気づき、魅せ方を学び、自在に操る力を身に付けて来た。
田中道重鞘師が背負ってきたものを、元をたどれば歴代のメンバーがずっとずっと背負ってきたものを、今は9期や10期が背負って、『泡沫』を歌っているのだと思う。
 
あの頃は自分のパートをこなすのが精一杯で、大人しくお澄まししていた9期10期、その姿を見て加入した11期12期が、『泡沫』ではありとあらゆる表情を見せて、見どころ満載のMVが完成している。
 
彼女達の表情や表現は、『One・Two・Three』では見られなかったものだけど、それはまさに、過去の娘。達が『LOVEマシーン』や『One・Two・Three』で見せてくれたものだ。
 
キラキラ輝くモーニング娘。に憧れた女の子たちが、その背中を追いかけて、いつしかモーニング娘。を自分の手で作って繋げていく。
モーニング娘。は永遠の愛の形」*2、まさにそうなんだと思う。
 
この曲もまた娘。の歴史を動かすのだろうか?
今はまだ分からないが、私は『泡沫』に娘。の永遠を見たような気がする。
 
 
モーニング娘。に100年続いて貰うために買おうな〜〜〜〜!!!!!!!
 

*1:最年長の飯窪春菜が1994年生まれ、最年少の羽賀朱音が2002年生まれ。

*2:6期メンバー・亀井絵里の卒業セレモニーでの言葉。

2015年ハロー!プロジェクトを見ていて思ったこと



①こぶしは推せる
こぶしは推せる!に始まり、こぶしは推せる!に終わった一年だった。
正月ハロコン一発目での結成発表で涙し、Berryz工房有明映像を見てハロプロの明るい未来を確信し、気づけばその勢いのままメジャーデビュー、そして昨日のレコ大最優秀新人賞。
こぶしファクトリーのための2015年でした。

2014年生タマゴshowで、ヤキモチをください!をソロで歌う浜浦彩乃が薄く発光する姿が目に焼き付いて離れなかった私にとって、結成発表は親戚の女の子が志望校に合格したようなもので、ただただよかったね!!!おばちゃん応援するからね!!!!って感じで。
あの煌めきが、もっと大きな会場で、たくさんの人に届くのだと思うだけで嬉しかった。

でもまぁこのアイドル飽和時代、ハロプロの看板があるといってもそうそう安易に売れるってわけにもいかないだろうし、
結局のところつんく♂が好きな(?)ハロヲタが、非つんくプロデュースグループに食いつくのか?研修生やNGPに手を出してないハロヲタにははまちゃん位しか顔が売れてないのでは?(実際あのトンチキネームが決まるまでは、はまちゃんズと通称されていた)…等々の不安要素はいくらでもありました。
スマイレージ(現・アンジュルム)、juice=juiceの苦戦を思うと、新人グループを増やすことを手放しでは喜べない気持ちも少しは胸の奥でくすぶっていたのです。

それから「こぶしファクトリー」という名前が発表され、賛否ありつつもなんだかんだと多くのハロヲタは面白がって、このグループに少なからぬ興味を持ったように思います。
Berryz工房の正統な後継者であることが公になったというのも、グループにとってもハロプロ全体にとっても大きな出来事でしたね。

そして衝撃の『念には念』。
「念を入れる」というテーマだけでこんなにパワフルな楽曲が生まれる奇跡を噛み締めたい。
そしてこのパワー系楽曲とがっぷり四つに組んで歌いこなすこぶしメンにも喝采

ちなみに私の界隈では「忘れんなアンブレンラ」が爆発的に流行しました。そして多くの女ヲタが井上れいれいに堕ちた。
ねんねんねんねねんねんねんねねん!

上半期が終わる頃には、このグループは同時期にデビューを決めたモーニング娘。12期やカントリー・ガールズアンジュルム3期とは完全に差別化されていたように思います。
「愚直にアホなことをする俺たちのハロー!」の系譜を受け継ぐ、ホネのある新人の座は確たるものになっていました。
そしてその勢いのままにメジャーデビューが決まる。

『ドスコイ!ケンキョにダイタン』『ラーメン大好き小泉さんの唄』この2タイトルを引っさげてのメジャーデビュー。

つんく♂を失ってなお、UFが意識的に、いわゆる「ハロー!的」キテレツ路線を継続することを打ち出したのが明らかになりました。

コミックソングという面だけでなく、ドスコイ!のテーマは大好きで、「大切なのは勝ち負けじゃない 価値あるものを生み続けること」ってまさにハロー!プロジェクトが今まで続けてきたことそのものだし、つんくハロメンに歌わせてきたことなんですよ(ex:その場の勝利よりも本当に凄くなろう)。

そしてそれは、売り上げと知名度が低迷する中で、実力主義・現場重視を貫いてきたハロメン達だからこそ説得力を持って歌えることであって。

ハロプロつんくに依存しているという脆弱性がずっと指摘されてきて、つんくの寿命=ハロの寿命だと言われてきた中で、予想外に早くつんくを失った今、UFの中の人達にこの姿勢を貫いていこうっていう意思があって、それをつんくPでない新人グループのデビュー曲に持ってくることって感動的です。

私は真夏の4泊5日のサークル合宿帰りに足を運んだリリイベ現場で、ついに本物の「アイドル」となった彼女らに相見え、その眩さに圧倒されたのをよく覚えています。

そんな彼女らの、そしてUFの意地がレコ大最優秀新人賞という形で実を結んだ!めでたい!!!最高!!!!好き!!!!!!!!!!!!!


ここまで書いて年を越してしまった。
ちなみに続きは

アンジュルムとかいう火薬庫
③全員女児・モーニング娘。'15
④ポストうたちゃん時代をどう生きるか

て感じだった。
では良いお年を。

『Fantasyが始まる/モーニング娘。』

ハロプロ楽曲についてブツブツ言うブログ、はじめました


『fantasyが始まる/モーニング娘。

収録アルバム*Fantasy! 拾壱

Fantasyが始まる

Fantasyが始まる

 

 近年、モーニング娘。およびハロー!に 女性ファンが急増していることはここで語るに及ばないのですが、この曲は娘。に救いを求める彼女らの圧倒的支持を集める曲のひとつと言って間違いないと思います。

 

その証拠に、昨年発売された女ヲタによる女ヲタのためのハロプロコンピアルバム、『ハロー!プロジェクトの全曲から集めちゃいました! Vol.6 女子ミュージシャン編 [(大森靖子津野米咲(赤い公園) ・ユリナ(住所不定無職)]』にもばっちり収録されています。

 

 

私ごとですが、この曲は約5年前、私がモーニング娘。およびハロー!プロジェクトに本格的にハマるきっかけとなった一曲でもあるのです。

せっかくのハロヲタブログ書き初め、そんな曰く付きの曲について、ぜひ書いてみたいと思います。

 

***


さて、モーニング娘。コンサートツアー2011春 新創世記 ファンタジーDX ~9期メンを迎えて~ でこの曲が披露された際の映像を見た私は、「女の子グループのこんな在り方ってアリなのか!」と、衝撃を受けました。

 

短髪パツキンのオネーサンだった高橋愛を中心に据え、アニメから出てきたような黒髪清純アイドル道重さゆみ、ゴッテゴテギャルの田中れいなが脇を固め、なんか髪の毛半分持ち上がってる(?)編込みイケメン姐さん風の新垣里沙、ゆるふわ文化系女子の権化みたいな光井愛佳……

 

いやどう考えても君ら同級生なら同じグループに所属してへんやろ!!!何がどうなってどういうバランスでその集団は成立してるんだ!!????いやそもそもこんな強そうな人々はクラスに一人も存在しないし、万一いたとして逆に絶対浮いてるな???

 

そんなやたら強そうな謎のお姉さま軍団の合間を、どう見てもお子ちゃまの9期がチョロチョロしてる、いったいぜんたい何が起こってるんだ……  

不可解な状況に困惑しつつも目が離せず、もう何回リピートしたのかわかりません。

 

世間で売り出されてる女の子グループって、自然発生的に似たような人種でつるんでるか、違うタイプの女の子が揃ってるとすれば男の人の為に作られたギャルゲー実写版みたいな集団、だいたいそういう風に大別できると思っていました。

 

女子校生活の中で、目的とプライドを共有してさえいれば、別の世界に住む女の子どうしであっても主体的に一致団結できるのだということを身をもって知っていながら、そんな集団が「外の世界」で通用しているわけがない、という勝手なあきらめを抱いていたのです。

そんな私の理解をぶち壊したのが2011年のモーニング娘。でした。

 

年齢も趣味も性格も、何もかも違うことが一目でわかる、明らかに特別な女の子たちが、みんな同じ挑発的な目を光らせながら歌って踊る姿は、斜に構えた女子高生だった私の胸を突くものだったのです。 

 

なによりとにかく格好いい!!なんだこれは!!かっこよすぎる!!!!うひょ~~~~~!一生ついてくわ!!!!!!!!

 

*** 

 

そんな衝撃を与えたのがこの曲だったことには、やはり理由があると思います。

  

まず何より曲名に惹きつけられるじゃないですか。

いやだって『Fantasyが始まる』。

マジか、始まるのか。まぁ、道重さんがそう言うなら始まるんでしょうなァ。だってそりゃあ道重さんのドーリープリンセスフェイスなら毎日が夢と魔法の世界でしょう。わかる。かわいい。ファンタジー、はじまる。はじまるよ。

 

そんな予測を裏切らない、幻想的でまどろむようなイントロは、インパクト大なベースがびしっとキマるのを境に突如セクシーでダンサンブルなメロディに変化します。

 

あれ…様子がおかしいな?と思った瞬間からもう曲にのめりこんでしまう。 

その勢いのままさゆみ、愛ちゃん、えりりんという女子の憧れ3トップが強気にAメロを歌い上げ、高揚感が止められなくなったところで、 

 

「どうしてそんな重い鎖を私に巻きつけるの 束縛止めてよ」

「何をそんなに期待してたの これで十分でしょう」

なかなか込み入った状況を思わせるフレーズが並ぶのです。


束縛の強い彼氏に対してなのか、それともやたらと彼氏ヅラしてくる男性か、はたまたお酌を強要してくる先輩や上司…

どちらのせりふも妙齢の女性にとって、ものすごく汎用性がありそう。ここ一番で言いたい言えないひとこと。

言ったが最後、今まで黙示の内に構築されていた、男女間のあいまいな緩衝地帯のような何かをぶち壊してしまうひとこと。

 

… いやちょっと待て、ファンタジーどこ行ったんや。

君らだいぶ生々しいこと歌ってるけど、ファンタジー始まるんちゃうかったの。 

どこにも始まる気配が見当たらない、むしろ夢も希望もない状況に陥ってるのでは??

 

さて、この曲はいったい何を歌いたいのか、ファンタジーはいつどこでだれとどうやって始まるのか。そんな疑問を残したまま、容赦なくサビに突入してしまいます。


そして、このサビのラストで「ガラスの靴」やら「かぼちゃの馬車」という”Fantasy”な小道具が唐突に登場し、我々はようやく腑に落ちるのです。

サビに至るまでに繰り返された強気な発言は、「ガラスの靴はこの手の中に」あって、「かぼちゃの馬車を正面に回」すことができる女の子だからこそだったのだと。 

 

ガラスの靴とかぼちゃの馬車という夢の道具を手中に収めた自分は、これから王子様に会いに舞踏会に行くことも、ちょっと都心まで買い物に行くことも、女友達に見せびらかしに行くこともできます。自由で何が悪いというの?ってやつです。

 

やりたいことを夢見て、実現する力があって、自分の頭で考え、自分の進みたい道を選択して生きてゆくのです。それが王子様や継母、魔法使いが自分に求めている選択かどうかなんて関係ありません。

だから、「体が勝手に動き始めるの SEXYでごめんね」 

 

……なるほど、わかる。「ねえちょっと、アタシのかぼちゃの馬車、オモテに回しといて!」一生にいっぺん言ってみたいでしょ。

なんかかっこいい。なんてかっこいいんだ。

 

あ~~わたしだってガラスの靴のヒールを鳴らして、カボチャの馬車を乗り回して、そんな気持ちでこの世界を生きて行きたい。

なんでだろう。この曲を歌って踊る娘。達は、どうしてこんなに魅力的に映るのでしょう。

 

***

 

色々考えたのですが、わたしがこの曲は最高にクールだなと感じるのは、決してファンタジーなんて始まらない、タイトルと背反するような歌だからです。

だからこそ”Fantasy”の始まりを高らかに宣言し、確かに子供のころに夢見たファンタジーを生きるテンションで、それでもやっぱり現実をまっすぐ見据えながら生き抜こうとする歌だなぁ、と思います。*1

 

作詞作曲のつんく♂は、アルバム発売時のライナーノーツでこの曲について「年齢的に大人になってはいるものの、それらすべてを認めたくない。まだまだもう少し子供でいたいなあ、とかそんな気持ち」と書いています。

 

私の心は子供のままなのに、おとぎの国を夢見た幼いあの頃と何一つ変わってはいないのに、外見ばかりが成長して「年頃の女の子」として時にちやほやされたり、時に軽んじられたりしている居心地の悪さとやり場のない苛立ち。

 

そしてふと気づけばあの頃には想像もできなかったような姿の自分がいて、自分は変わってないと思っていたつもりなのに、どこかで何か大切な感覚を忘れてきてしまっているような気がする、叫び出したいようなせつなさ。

 

「大人」になる過程の女の子は、多かれ少なかれそんなジレンマを抱えている気がします。

 

あの頃より少し成長して、ただ待っていてもぜんぜんファンタジーなんて始まらない事に気づいてしまって、じゃあ一体私はどうしたらいいのだろうか。 

最早ファンタジー的なるものへの憧れや胸のときめきは時に幼いものだと笑われすらするかも知れません。


でも、ガラスの靴やかぼちゃの馬車を夢見た私たちは、今では洋服もヘアアレンジもネイルもビビッドにキメられるようになりました。やってみたいことは何でもできるし、行きたい所にも自由に行くことができます。


周りの目線に呑み込まれず、昔から変わらない憧れやときめきを掴み取り、手に入れた自分の力を疑うことなく、まっすぐ人生を切り開いてゆきたい。


こんなどうしようもない世界、Fantasyを始めなきゃ生きてられない、いや、この現実でこそわたしのFantasyが始まるのだ! 

この曲からは、そんな強さが溢れ出しているように思います。


そしてまさにそれを体現している娘。たちがこの曲を歌って踊る姿。

それが女性ファンの共感と憧れを呼び、心を揺さぶるのではないでしょうか。

 

***

 

そういえば寺山修司のこんな言葉を見つけて、まっさきにこの曲を思い出しました。


『一言でいってしまえば、私は化粧をする女が好きです。そこには、虚構によって現実を乗り切ろうとするエネルギーが感じられます。そうした化粧はゲームでもあります。顔をまっ白に塗りつぶした女には「たかが人生じゃないの」というほどの余裕も感じられます。化粧を、女のナルシズムのせいだと批判してしまうのは、本当の意味での女の一生を支える力が、想像力の中に在るのだということを見抜くことを怠った考え方です。』(「青女論・坂さま恋愛講座」より)

 


我々のFantasyは、我々の前に横たわるシビアな現実と対峙するためにこそ、始まるのだと思うのです。

 

*1:ちなみにモーニング娘。'15のタイアップも記憶に新しい『Go!プリンセスプリキュア』は、各々の夢を追う主人公たちが、「プリンセス」に変身し、夢を守るために戦う物語。この曲に何となく通じるものがあって、娘。がこの作品に関わった必然性を感じます。最高。